芳賀委員
まず、外国人学校生徒等支援事業について、1問伺いたいと思います。
我が会派としては、子供の教育を受ける機会を確保するということを尊重しながら議論をさせていただいてきました。そして、一連の流れを振り返りますと、朝鮮学園側からの2月14日付けの文書回答からすれば、そもそも学園側の説明の理由について、不誠実だったと言わざるを得ないと、先日の質疑でも述べさせていただきました。
ただ、県として、12月の時点で何らかの情報が得られなかったという点に関して言えば、県の対応として提案が唐突だった上に、情報を得るための姿勢に甘さがあったのではないかと、指摘をまずさせていただきたいと思います。その上で、前回の常任委員会において、県と神奈川朝鮮学園との信頼関係について質疑をさせていただきました。その中で、私学行政における県と私立学校との関係は理解をいたしましたが、その上で、確認の意味で伺いたいと思います。
本議会における様々なやり取りの中で分かってきたことは、これまで朝鮮学園との関係について、県からの要請に対して学園側が対応する形でありました。今後は、何か事が起こってから県が動くということではなく、神奈川朝鮮学園が、自主的にもっと情報提供する必要があると考えますし、県として主体的に働き掛ける姿勢も大切だと考えております。この点について、県の見解を伺いたいと思います。
私学振興課長
先般、私学行政の所轄庁と私立学校との関係というお話をさせていただきましたけれども、神奈川朝鮮学園も認可された私立学校の一つとして、これまでも例年、私立学校の認可制度の中で、例えば生徒数でありますとか、財務状況、役員の状況、学校施設の状況、こういった必要な報告、あるいは情報提供を受けておりまして、ここの部分は今後も何も変わることはございません。
今回の補助金を巡ります、今後の学園の新たな点につきましては、これまでも度々県として答弁させていただきましたが、県としても注視し、確認をしていくということになります。そして、これまでもそうでしたし今後もそうですが、議会のこの議論、それから議会の様子、こういったものもお伝えしてまいりますので、学園からのそういった自主的な対応について期待したいというふうに思っております。
芳賀委員
朝鮮学園との関係については、これまで何か問題が発生してから、県が学園側に対応を求めるということでありました。
今後、何かがあったときにすぐに対応できるよう、また、朝鮮学園としてももっと開かれた学校となり、県民の理解が得られるよう取り組んでいってほしいと思います。県と私立学校の関係において、県としてできることが限られていることもよく理解はしておりますが、朝鮮学園に対して、もっと自主的に県に情報提供するよう、県として主体的に働き掛けていくことも要望させていただきます。
次に、所在不明児への対応について、伺ってまいりたいと思います。
先般、所在不明乳幼児への対応について、代表質問を我が会派としていたしました。知事からは、未受診者等への対応は、各市町村によって差はあるものの、市町村では家庭訪問等により状況を把握し、居住実態が把握できない家庭などについては、親族、近隣住民、転居先と考えられる市町村からの情報収集を行うなど、各関係機関とも連携してケースごとに調査し、実態把握に努めているとの答弁がありました。
そこで、所在不明乳幼児への対応について、児童虐待防止の観点から伺ってまいりたいと思います。まず、県所管の市町村の乳幼児健康診査の未受診者数及び未受診率について、改めて確認させていただきます。
子ども家庭課長
所管している保健福祉局から聞いたところでは、平成24年度の県所管の市町村における3か月健診や4か月健診、1歳6か月健診、3歳児健診の対象者は5万7,897人であり、そのうち未受診者は3,302人となっております。また、平成24年度の県所管の市町村における未受診率は5.7%ということでございます。
芳賀委員
そのうち、居住実態が把握できないなど、所在不明により各市町村の児童虐待対応担当部署につながる件数はどのくらいあるのか、お聞きしたいと思います。
子ども家庭課長
市町村の母子保健担当部署は、通常、乳幼児健康診査を受けていない家庭を把握した場合は、保護者に対し、電話や文書、家庭訪問などにより働き掛け、受診に結び付けています。
その際、未受診の理由や背景などを調べ、今後の支援や見守りなどについて検討が必要と考えられる家庭については、市町村の児童虐待対応担当部署に、情報提供と内容の対応について協議しています。
平成24年度に、県所管の市町村の母子保健担当者から、居住実態が把握できないなどの所在不明を理由に、同じ市町村内の児童虐待担当部署に情報提供を行い、対応した件数は29件であります。なお、この29件につきましては、転出先の市町村の情報提供や入国管理局の出入国記録の照会、また、児童相談所の調査など、その後の調査で全て所在が確認できております。
芳賀委員
市町村の児童虐待対応担当部署など、関係する機関ではどのような対応をしているのか、伺いたいと思います。
子ども家庭課長
市町村の虐待対応担当部署では、乳幼児健康診査の未受診ケースについては、子育て支援サービスの利用状況、各種手当の受給状況、また、子供やその家庭に関する情報を整理して、対応について検討した上で、必要な支援の提供に努めています。
そのうち、居住実態が把握できない家庭については、保育所などの子供の所属先、住民票や戸籍から判明した親族や地域の児童委員の調査などにより、必要な情報を収集し、その家庭の実態把握に努めています。
市町村の虐待担当部署は、このような対応においても実態が把握できない場合や、情報収集の結果、子供の健康や生命の危険など、重篤な虐待のおそれがあると考えられる場合には児童相談所に連絡し、相互に連携して対応します。
児童相談所は、保護者の協力が得られない場合には、立入調査などにより、子供の安全確認や安全確保のための対応を行うなど、所在の確認に努めています。また、児童相談所は、必要に応じて、警察に所在不明の子供の行方不明者届を出す場合もあります。
芳賀委員
県内には、政令市や児童相談所設置市があり、母子保健や児童虐待対応など、それぞれが権限を持って対応していることは承知をしております。
しかし、乳幼児健診未受診者の中には、所在の確認ができないまま転居する子供もいると思われ、その中には、県所管から政令市等へ転居する事例も多いと思われます。
そこで、県として、政令市等としっかり連携をして実態を把握し、必要に応じて児童相談所等で適切に対応すべきと考えますが、どのように連携しているのか伺いたいと思います。
子ども家庭課長
県所管の市町村における乳幼児健診未受診者の中には、自治体を越えて転居する事例もあり、その中には、政令市等へ転居する事例もあるため、相互に連携して対応する必要があります。
そこで、県と政令市を含めた市町村は、県内自治体間における支援が必要な家庭の転居に伴う情報提供のルールを申し合わせ、それに基づいた対応を行っております。この申合せでは、それまで母子保健や児童福祉など、関係機関が独自の判断で個別に行っていた情報の引継ぎを、各市町村ごとに関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会を窓口として行うこととしました。
また、転居時の情報提供や転居の手順、書式の統一を図るなど、県内自治体間において必要な情報を迅速かつ確実に共有し、所在の確認ができるように対応しております。
児童相談所においても、転居した場合やその可能性がある場合には、その地域の児童相談所に情報提供し、相互に連携して対応していくところでございます。
芳賀委員
各自治体において、保育所などの子供の所属先や、児童相談所などと連携して対応されていることは分かりました。
そこで、関係機関の相互の連携における課題と、県としての今後の取組について伺いたいと思います。
子ども家庭課長
各市町村の母子保健事業や子育て支援サービスなどを通じて、居住実態が把握できないなど、虐待の発生リスクが高い場合には、児童虐待対応担当部署に情報を集約し、できるだけ早く所在を確認した上で、適切な支援に結び付けることが重要です。また、転居を繰り返すなど、把握が難しい場合においては、転居先の市町村や児童相談所など、広域的に関係機関が相互に連携して対応する体制強化の必要があります。
そこで、県としては、県内の全ての市区町村において申し合わせている転居時の情報提供ルールに基づいた対応の徹底を図るとともに、保護者への引継ぎの顔合わせのため、転居前と転居先の自治体の職員が一緒に家庭訪問するなど、自治体間の取組の好事例を他の自治体と積極的に情報提供するなど、県内はもちろんのこと、県外の自治体との連携強化にも、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
芳賀委員
要望させていただきます。
市町村の乳幼児健康診査未受診者の中には、所在不明の場合も含まれ、虐待発生のリスクも高く、養育支援を特に必要とする家庭が多いと思いますので、市町村の児童虐待担当部署と母子保健担当部署が連携するとともに、地域の関係機関で早期に対応できるような支援体制の強化を図るため、県としても努力していただくことを要望させていただきます。
次に、いじめ問題について、再度伺いたいと思います。
こちらも先日の代表質問において、いじめの早期解決を促す仕組みづくりについて、知事に質問をさせていただきました。それに関連して、私立学校に対する県の取組について、幾つか伺います。
いじめ防止対策推進法が去年9月に施行されましたが、それまでの私立学校に対する県の取組について伺いたいと思います。
私学振興課長
私立学校は、各学校の自主性とそれぞれの建学の精神に基づく教育方針の下で、学校運営がなされております。こうした中で、私立学校に対しましては、法律の制定前に、制定に向けた国の方向でありますとか、県教育委員会の準備状況など、逐次情報提供してまいりました。
それまでのいじめに関する取組としましては、私立の中高協会と連携した教員研修会の実施でありますとか、あるいは藤沢市にあります県立総合教育センターの研修講座、これは基本的に公立教員の研修機関でございますが、こちらにも私立の教員が受講できるような調整を行い、支援を図ってきたところでございます。
芳賀委員
この法律が昨年9月に施行されて以降、県は私立学校に対してどのように周知をしたのか、伺いたいと思います。
私学振興課長
私学の団体は、私立中学高等学校協会等の各団体がございますけれども、そちらの理事会でありますとか、それから研修会の機会に、度々こちらから伺わせていただきまして、いじめ防止対策推進法についての周知を図ってまいりました。
さらに、本年1月でございますけれども、国の文科省の直接のこの法律の担当セクションであります、児童生徒課の生徒指導室長を研修会の講師としてお招きいたしまして、100人を超える私学の先生方の前で御講演いただき、質疑応答もやらせていただいたところでございます。
芳賀委員
いじめ防止の取組に当たって、私立学校と公立学校の連携が重要と考えますが、私立と公立の情報共有をどのように図っていくのか、伺いたいと思います。
私学振興課長
いじめの防止、早期発見、それから対処に関係する機関及び団体の連携を図って、防止対策の推進に関する協議を行うこととしまして、神奈川県いじめ問題対策連絡協議会を設置をいたしまして、先月2月26日に、早速第1回の開催がなされております。
この連絡協議会は、私立学校、公立学校の関係者が構成員となっておりますので、いじめ防止に向けて必要な情報交換、共有を行いまして、私立と公立の情報共有をこの場を通じて図っていきたいというふうに考えております。
芳賀委員
県のいじめ防止基本方針において、まずは学校がいじめの早期発見、早期解決に取り組む必要があるとしておりますが、私立学校は、県の基本方針を受けて、どのような対応を行っていくことになるのか、最後に伺いたいと思います。
私学振興課長
いじめ防止対策推進法の中では、道徳教育等の充実、早期発見のための措置、相談体制の整備、それからネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進、こういったものを学校で講ずべき基本的な政策としております。また、個別のいじめに対しましては、事実確認、いじめを受けた児童・生徒、保護者に対する支援、その行った児童・生徒に対する指導、その保護者に対する助言、これをまず学校が講ずべき措置というふうな形になっております。
私立学校は、この県の基本方針を参考にして、自ら学校の方針を策定いたしますが、まずは学校としての取組を行うというこの部分を、県といたしましても、私学の所管課として支援をしていきたいというふうに思っております。
芳賀委員
要望させていただきます。
いじめの問題は、何よりもまず、学校が組織としていち早く認識し、早期解決に向けた努力を行うことが重要であると考えます。私立学校におけるいじめの未然防止、早期発見、早期解決が図られるよう、県としても必要な支援を進めていただければと思います。
以上で、私の質問を終わります。
芳賀委員
当常任委員会に付託されております諸議案及び当委員会に関連します事項につきましては、みんなの党神奈川県議団として意見発表を、賛成の立場から行わせていただきます。
まず、企業庁における水力発電の取組についてです。原子力に依存しない社会の実現のためには、水力発電などの再生可能エネルギーの導入は必要不可欠です。企業庁が行う水力発電については、その社会的意義と費用対効果などの効率性と何とか両立をさせながら、特に導入コストと発電収益性の関係に課題がある小水力発電施設については、長寿命化によるこつこつと少ない収益を積み上げていくような姿勢で、そして、他の水力発電施設も含めてなるべくコストを抑えながら、長く維持するための取組に期待をしております。
次に、県民局関連のICTの活用についてです。若年層向けの配偶者等の暴力対策の啓発については、効率的、効果的に中高生などに啓発を行うために、やはり啓発を目的とした携帯アプリ、コミュニケーションアプリを利用した啓発など、インターネット依存などが注目され、行政としてちゅうちょする現状は理解をいたしますが、暴力から守るという観点から、是非例示したものを含め、斬新な取組を検討されることを要望いたします。
マグカルドットネットについては、約80言語に対応し、サイトの操作性や映画、立候補に関連したインタビュー掲載などの内容についても評価をさせていただきます。一方で、やはり最終的に他のサイトにチケット購入の段階でリンクされていることは、結局このサイトを訪れて2回目にイベントを探すときには、チケットがすぐ買える他のサイトを訪れてしまうと、私は思いました。マグカルドットネットでチケットが買えれば、サイトのリピーターも増え、更なる発展も見込めると思います。是非、検討していただきたいと思います。
次に、かながわ国際ファンクラブ事業のホームページや魅力発信事業についてです。マグカルドットネットが約80言語の多言語化を実践できている点からすれば、ポータルサイトの多言語化が4箇国だけということ、現状のサイトが日本語サイトを単純に英語に翻訳しただけの状況を見ると、翻訳費用の考え方やサイトの運営について、かなり甘いと言わざるを得ません。また、新たな取組である魅力発信事業も、まだまだ詰めるべきところが多く、既存のインターネット放送局との連携などを模索すべきと考えます。それを踏まえると、委託の仕組みを本年度とは変えて、ICTを活用する分野は、それに特化して専門性のある委託先に任せる方が効率的だと考えられます。以上、ICT活用に関しては、是非部局内で良い取組を共有し、各施策に生かしていただけるよう強く要望いたします。
次に、子供に関連する課題についてです。まず、所在不明乳幼児への対応についてです。市町村の乳幼児健康診査未受診者の中には、所在不明の場合も含まれ、虐待発生のリスクも高く、養育支援を特に必要とする家庭も多いと思いますので、地域の関係機関で早期に対応できるような支援体制の強化を図るため、県の取組を要望いたします。
次に、いじめ問題についてです。私立学校におけるいじめの未然防止、早期発見、早期解決が図られるよう、県としても必要な支援を進めていただきたいと思います。
そして、次代を担う子供、青少年の文化芸術活動の機会に差異があることについてです。この課題は、文化芸術振興の観点からも、喫緊に解決されなければならない課題だと考えます。そのためには、既存の取組だけではなく、本県の県民ホールや音楽堂などの、音楽業界などに認知も人気もある財産を生かして、積極的に本県出身のミュージシャンやゆかりのある方々など、文化芸術を実践する側からの文化芸術振興と、この課題解決へつながることがマッチングするような新たな仕組みを検討し、子供の頃から文化芸術に触れられて豊かな心を育むことのできる環境実現に向けて、努力していただきたいと思います。
最後に、外国人学校に通う子供たちへの新たな支援制度についてです。子供たちの教育を受ける機会を保障するということを尊重し、議論をしてまいりました。今後、朝鮮学園としても、県民の理解が得られるよう取り組んでいってほしいと思います。県として、朝鮮学園に自主的な情報提供を主体的に働き掛けていくことを要望いたします。また、制度としては、各学校に多大な影響が出ますので、円滑な制度の施行のため、県としてしっかりと取り組まれることを要望します。
以上、意見、要望を申し上げ、定県第1号議案については、朝鮮学校に通う生徒等に対する外国人学校生徒等支援事業の実施にあたっては、学校法人神奈川朝鮮学園が、教科書編纂委員会に対して、拉致問題の記述のある教科書への早期改訂を要請すること、改訂されるまでの間、同学園が拉致問題に関する独自教科書を作成し、当該教科書を使用した適正な授業を実施することを確認の上で執行されたい。との意見を付して原案に賛成し、その他の諸議案については、原案のとおり賛成いたします。